住宅街の最深部でカレーライス



『うちのマッサマンはロイヤルレシピなんですよ』

その男が着座するなり店主はおもむろに紹介をしはじめた

聞けばかつて店主の祖母に当たる方がお勤めになられていた店が、伝統的なレシピにより作られるマッサマン・カレーを提供していたとの事

その祖母の経験をそのまま受け継ぎ、今日この店でも同様のマッサマンを味わう事が出来るというのだ

そうですか、ロイヤルレシピですか・・

だが男はそれを体験できない複雑な事情を抱えていたという


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この男こそ
『バンコク2時間以内の日本式カレーを制覇する』という、ちょっと何言っているか分からない理念を掲げる男

ここのお店の店名がたとえ『ロイヤル・マッサマン』であり店主がいきなり推してきたとしても、彼の日本式カレーの注文は揺るぐことがないと言う

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 お店の様子


そんな店舗はオープンテラス

住宅街の最深部にひっそりと存在しているため、『通りかかる』という手段でここを発見する事は、惑星に生命が誕生するのに匹敵するほど確率が低い


『日本人のあなたが、なぜこの店を知っているのですか?』

店主は尋ねるが男は答えなかったという

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そう、なぜならその男は回答する言語能力を持ち合わせていなかったからだ

 メニュー 見づらい場合は画像をクリック!


机上に置かれたメニューはまさに店主手作り風

マッサンマンを店名にうたい初っ端から推してくる割には、巻頭カラーは日本式カレーとなっていた


『いったい店主はどういうおつもりなのか・・?』

男はそう疑念を感じたのだが、それを訪ねるなど野暮なことはしなかった


いや、タイ語が分からず出来なかったのだ

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後半に出てくる推しのマッサマンはメニューの雰囲気も一転

いきなりおシャレなカフェ風メニューへと転身する


『これがロイヤルレシピなのか・・』

そう思うと食してみたい衝動に駆られるが、彼の理念がそれを抑制する

『バンコク2時間以内の日本式カレーを食さねば』

与えられた宿命が一瞬ではあるが彼に迷いと苦悩を与えるのであった

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 いただきます


いろんな思想が巡る中、粛々と日本式カレーを注文することに

・・したかったのだが、ここでまた試練が彼を襲う


このオープンテラスの住宅街最深部におけるレストランのオーダーは記入式

しかも数量を入れるだけでなく、何かしらの選択をする形式となっていた

どうやら指差しだけではオーダーは困難なようだ


『ここは運を天に任せるしかないか・・』

男はそう思うとおそらくそうであろうと思ったメニューの部分に印を入れ、店主の母親と思われる淑女に渡すのであった

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男のおそらくそうであろうと思ったものはカツカレー


Tonkatsu & Curry Swanpak Road    145THB (500円)
出てきたものはまさにおそらくそうであろうモノ

どうやら天は男に味方したようだ


郊外和食屋のカツカレーは総じてペラペラ肉だがここのは肉厚でまさにトンカツ

食べごたえ充分でこれが500円とは・・という印象

が、肝心のカレールーが、結構独特な味付け
トロミの付いたインド風カレーと言った表現がピタリだろうか


日本式と思うと少々の違和感ではあるが、これはこれでかなり美味であったと後に彼は自身のブログに綴るのであった


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思えば入店時に見たこの暖簾からトンカツもここのイチ押しなのだろう

肉厚が出てくるのも自然の流れなのか


しかしマッサンマンを店名にうたい初っ端から推してくる割には、店にかかる暖簾は可愛らしいトンカツとは・・


『いったい店主はどういうおつもりなのか・・?』

男はそう疑念を感じたのだが、それを訪ねるなど野暮なことはしなかった


・・以下略


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 まとめ


カレーに味噌汁が付帯するのはタイでは常識中の常識

余談ではあるが一部の店舗ではラーメンにも味噌汁が付帯する

信じるか信じないかはあなた次第だが、郊外和食屋研究家の間ではよもや議論されることすらない史実であるという


付帯には慣れたが『スプーンで味噌汁を食す』ことには郊外和食屋研究家である彼も未だ慣れない


『箸つけてくれないかな・・』

届かぬ願いをつぶやきながら、彼は黙々と汁をすくいあげたのであった

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『次はマッサマンをいただきます』
.。゚+.(・∀・)゚+.゚


という男の雰囲気を察したのか、店主の笑顔は最高に輝く

この店主の手によってタイのロイヤルレシピは継承されていくのであった



・・食べていないけど

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 ショップデータ







ROYAL MASSAMAN CURRY 1942

営業時間 : 10:30-19:30
定休日  : 木曜日
電話   : +66622899988
H.P.    :

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